ブックタイトル北斗みらい展望 Vol.62

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概要

北斗みらい展望 Vol.62

医療技術部副部長小岩幹(理学療法士)理学療法士國廣祐助それは「歩きたい」と考えることから始まる「歩きたい」と考える最初の思いを受け取ってアシストしてくれる仕組みのロボットスーツHALRを導入し現在活躍しています。そのメカニズムをご説明しましょう。●再び立ち上がり、歩く近年、医療・介護において、ロボット技術の開発が活発になってきました。リハビリテーションにおいても、ロボット技術を利用したリハビリテーション機器が次々と開発され、病院、施設等に導入され始めています。私達も、先端のロボット技術が病気やケガの後遺症を持った方の機能改善に少しでも役に立てばとの思いがあり、ロボットスーツHALRを導入しました。HALRは、歩くことが困難になった人たちに、再び立ち上がり、歩くということができるようにお手伝いするロボットのひとつです。このロボット技術は筋肉の活動をセンサーが素早く察知し、アシストするように動いてくれるため、訓練としての効果が大きいのではないかと期待しています。私達はこのロボットを使い、脊髄損傷や脳卒中片まひ、神経難病の方々で足がまひして歩行が難しくなった方に立ち上がりと歩行訓練を行っています。●立ち上がろう、歩こうという意思電極を両下肢の数カ所に貼り付けます。その電極がキャッチする信号は非常に微弱なものですが、それを読み取ってくるのがHALRの優れたテクノロジーです。なぜなら、実際にその方が自分の力で立ち上がりや歩くことができなくても、「立ち上がろう、歩こう」という意思で少しでも信号が出てくれば、HALRが立ち上がらせ、歩く補助をしてくれるというものだからです。また、信号が出てこない方の場合であっても、このHALRに立ち上がりと歩く動作のプログラムを組み込むこともできるのです。●外したあとの歩行速度脊髄損傷で歩行困難になった方にHALRを装着して歩行訓練を行ったところ、外したあとの歩行速度が上がった方がいます。HALRを使用した患者様にアンケートをさせていただきました。その結果、高い満足度の評価をいただいています。しかし、当法人でのHALRを活用した訓練は、まだ期間が短く、更にデータを蓄積して工夫を重ね、更に発展させていきたいと思っています。●神経リハビリテーションへ脳波を読み取ってその命令で機械を動かす治療法もまもなく実用化されていくでしょう。頭部に脳波を読み取る装置を付け、まひした腕にモーターで手の指を動かす装具を着け、指を伸ばすよう脳でイメージすると脳の運動に関連した部分が活発になります。その変化を装置が読み取り、装具を動かします。これを繰り返すことで手を動かす行為を脳が学習して行くというものです。これまでの経験に基づいたリハビリテーションから、このようなHALRを初め様々な機器を使って脳と神経のつながりを変えていこうという神経リハビリテーションという治療法に発展しつつあります。1まずは「歩きたい」と考えること2信号を受け取り、筋肉が動く3信号をHALRが読み取る4思い通りにHALRは動く5脳が動きを学習する●ハルHALR(Hybrid Assistive LimbR)(CYBERDYNE社ホームページより抜粋)7